クラウド給与計算のメリットを検討します。手作業での給与計算は、従業員が少数でも、事業者にとって事務負担となります。これを廃止する代替として、給与計算ソフトを利用する方法とクラウド給与計算を利用する方法があります。ここでは、クラウド給与計算におけるメリットをみてみます。

クラウド給与計算の各社比較

クラウド給与計算を利用するには、当然ながら、料金の支払が必要となります。これは給与計算ソフトを利用しても同様です。小規模事業者にとっては、この料金負担が給与計算ソフトやクラウド給与計算を利用する最大の障害となるようです。無料で配布されている簡易な給与計算ソフトもあるようですが、給与計算は毎年のように行われる所得税や社会保険の改正の影響を受けますから、バージョンアップが必須となります。毎年確実にバージョンアップできるかという観点からは、無料の給与計算ソフトはお勧めできません。無料のクラウド給与計算は、有料のものと機能上の差異はないようですから、安心して利用できるでしょう。

  料金 / 本稿執筆時点 無料条件 無料制約
freee 月額1,980円
4人〜 @300円加算
1月無料 機能制限なし
給与ワークス 月額3,240円 最大2月無料
MFクラウド給与 月額2,700円
6人〜 @324円加算
1人無料 機能制限なし
Crew給与計算 月額1,080円
6人以上1,944円
1月無料
FreeWay給与計算 月額2,138円(6人以上) 5人以下無料 機能制限なし
(サポート無)

FreeWay給与計算は、同社webサイトによると「従業員5人まで全機能を永久無料」だそうです。これは小規模事業者の強い味方です。次に、このFreeWay給与計算を利用するとどのようなメリットがあるのかをみてみます。

FreeWay給与計算のメリット

  手作業では… FreeWay給与計算では…
所得税計算 ① 給与支払のつど税額表を見ながら税額を賃金台帳に転記します
② 法改正があれば税額表を新しいものに差し替えます
③ 年末調整では面倒な計算をして源泉徴収簿や源泉徴収票を手書きします
① 自動計算
② 自動対応
③ 必要項目を追加入力すれば自動計算して各種帳票を印刷できます
雇用保険料計算 ① 給与支払のつど保険料を電卓で計算して賃金台帳に記載します
② 法改正があれば料率表を新しいものに差し替えます
① 自動計算
② 自動対応
社会保険料計算 ① 法改正があれば料率表を新しいものに差し替えます
② 過去の賃金台帳を見ながら直近の賃金を算定基礎届に転記します
① 自動対応
② 過去のデータから算定基礎届を自動作成して印刷できます
時給計算 電卓で各人別の時給単価に勤務時間を乗じて計算して賃金台帳に記載します あらかじめ時給単価を登録しておけば勤務時間だけの入力でOKです
残業手当計算 電卓で各人別の残業単価に残業時間を乗じて計算して賃金台帳に記載します あらかじめ残業単価を登録しておけば残業時間だけの入力でOKです
給与明細書作成 ① 賃金台帳を見ながら転記します
② 作成した給与明細書を従業員に手渡します
① 自動作成
② e-mailで従業員に通知して従業員自身がwebで閲覧・印刷
給与振込 賃金台帳を見ながら銀行ATMで振り込みます インターネットバンキング用データ(全銀データ)を出力してインターネットで振り込みます
タイムカード集計 紙面に打刻された出退時刻から日毎の勤務時間を数えて電卓で月の勤務時間を計算します ICカードを利用して出退時刻を管理
結果を確認するだけ
FreeWayタイムレコーダーを利用*

* FreeWayタイムレコーダーは「従業員10名までなら永久無料」だそうです。

クラウド給与計算のメリット(総括)

所得税計算や残業手当計算など給与計算過程におけるメリットは、小規模事業者にとって、作業時間の削減という観点からは、大きなものではないでしょう。数人の従業員について税額表を参照する作業が省けても、削減される時間は数分にも満たないでしょう。しかし、手作業であれば、各種の計算を誤る危険がありますが、クラウド給与計算であれば、初期登録を間違えない限り、この危険はありません。また、手作業であれば、担当者が給与計算のたびに、保管してある紙面の税額表を取り出して参照するという現実の作業が必要となりますが、クラウド給与計算であれば、担当者が税額表を参照する必要はありません。クラウド給与計算では、現実の作業手順が簡素化されているのです。現実の作業手順が多ければ一連の作業を敬遠してしまうのが一般人の心理だとすれば、作業手順の簡素化には大きな意味があるといえるでしょう。

給与明細書のwebによる提供は、とても大きなメリットです。手作業であれば、手書きした給与明細書を従業員に交付しますが、その準備として、給与明細書を各人別の封筒に入れて支給日まで保管するという作業が必要となります。クラウド給与計算であれば、この準備作業が不要となります。また、手作業であれば、このようにして準備した給与明細書を支給日に担当者が従業員に直接手渡しますが、クラウド給与計算であれば、担当者は直接手渡しをする必要がありません。クラウド給与計算であれば、担当者は支給日に事業所に出勤しなくても構わないわけです。

このように、クラウド給与計算には多大なメリットがあるようです。上記ではふれませんでしたが、給与支払をする事業者は従業員の個人番号(マイナンバー)を保有することになり番号法による安全管理措置を実施する義務を負うところ、クラウド給与計算を利用して個人番号(マイナンバー)を保有することでこの負担を軽減することもできます*。また、小売店や飲食店などパート従業員の雇用が不可避である事業者においては、シフト管理と勤怠管理を一括するクラウドシステムを活用することができれば、単なる事務の削減という範疇を超えて、事業運営面での成果が期待できるかもしれません。

* フリーウェイマイナンバーは最低でも月額824円の料金がかかるようです。